例年ならば秋らしい季節感のあるこの時期ですが、今年は一気に冬がやってきました。
しかし果物売場の店頭には、例年通り初冬の果物、柿が並び始めました

今回は柿についての話題です。
柿は昔からある日本固有の果物の1つです。植物分類では、カキノキ科カキノキ属カキノキです。
学名は Diospyros kaki 、和名:カキノキです。
食べる部分はカキノキの果実です。
柿には葉の部分や果実部分に有益な成分が含まれており、生薬としても用いられてきました。
生薬としての柿に関しては、別の機会に。
果実に関しては、ご存じのように、柿には甘ガキと渋ガキとがあります。
甘ガキには、富有、次郎、伊豆、西村早生、松本早生、早秋、太秋、愛秋豊、貴秋、御所、晩御所、花御所、天神御所、水島等品種が極めて多く数百品種に及びます。
渋がきは、甲州百目、富士、江戸柿、平核無、刀根柿(刃根早生柿)、西条柿、市田柿、四つ溝、会津身知らず、堂上蜂屋柿、愛宕等があります。
渋柿だけでなく、甘ガキも熟す前には渋みがあります。この渋みの原因は、タンニンです。
タンニンと言えば、お茶に含まれている苦み成分と気づくと思います

緑茶の場合、緑茶タンニンと呼ばれており、柿に含まれているタンニンはカキタンニンと呼ばれています。
柿のタンニンには可溶性と不溶性があり、渋みがあるのは可溶性タンニンです。
これが口に入って溶けたときに渋みが感じられるのです

苦みを減らすには、このタンニンが溶けなければいい、すなわち可溶性タンニンが化学変化し、不溶性になることで、食べたときに、口の中で苦みを感じなくなり、柿の甘みが強く感じるようになります。
これが「渋抜き」と呼ばれているものです

渋抜きには、果実に炭酸ガスやアルコール処理をすることで、可溶性タンニンを不溶性タンニンに変える方法や、干し柿や吊るし柿にする方法があります。
柿の産地である奈良県五條市には 柿博物館(果樹振興センター)がありますので、
初冬のこの時期に一度訪れてはいかがでしょうか

その時には押し寿司を柿の葉で包んだ名産「柿の葉寿司」を食べるのもお忘れなく

*最近は「タンニン」という名前よりも化学構造から、
総称としての「ポリフェノール」と呼ぶのが一般的になっています。
ポリフェノールの中にタンニンも含まれています。